空高く流れる雲、穏やかな波。
船は力強く突き進んでいる。
今はまだ水平線しか見えないが、きっとオレの目的地がこの瞳に映るだろう。
確信に満ち溢れた想いを胸にしている...
夕刻を待って船内のBARへ。
ここの日系二世のバーテンともすっかり馴染みになっちまったようだ。
いつものカウンターに陣取るとメーカーズマークのダブルがそっと置かれる...
( ジンリッキーが飲みたかったんですが?(・∀・;) )
黙ってグラスを手にする。我ながら小市民だ...
バーテンの話だと明日港に着くらしい。
「アンタは?」「オレは目的地まで降りるつもりはないよ」
そんな会話をしていると、一人の若者がオレの隣に腰掛けた。
「日本人?」「ああ、そうだが?」
聞けば彼の国では日本の漢字のタトゥーを入れるのが流行らしい。
メモとペンをオレに差し出し、「希望」を表す漢字を書いて欲しいと言う。
ペンを走らせ、書き終わったメモを彼に渡す。
「これってどういう意味の言葉なんだい?」目を輝かせ彼が聞いてきた。
「光に満ち溢れた未来ってトコかな」
バーテンがニッコリ微笑む。
若者はオレに礼を言いBARを去った。
「アンタも飲むかい?」「ああ、いただこう」
バーテンと乾杯しグラスに口をつける...
どちらからともなく、堪えきれず酒を噴出し声を上げて大笑いした。
あのガキの肩に彫られるであろう 禿 というタトゥーを想像すれば無理もない。
「バレたらアンタ殺されるぜw」
「明日降りるみたいだから二度と会うことなんてねーよww」
しばらくバーテンと談笑し、客室へと戻る。
Gone are the days when I was an innocent guy.
ヤツがあの漢字の意味を知れば、
初対面の人間を安易に信じるなんて愚かな真似はしなくなるだろう。
ま、これも社会勉強だw
航海は順調に続いている。
目的地に降り立った自分を想像しながら、オレは眠りに就いた...
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